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11th frog in Dec.  師走の蛙 11匹目

師走の蛙とは、「寒ガエル」をもじった古くより伝わる大阪しゃれ言葉。学校に通い出してから医師になっての勤務先まで、北大阪から一歩も出たことがない私、井の中の蛙の独り言です。診療の合間、日々の雑感を(医療に関係ないこともふくめて)綴っていきます。

メタボ検診?...

2008 6.11

特定健診がこの春より導入されました。市町村や企業が主体となって、検診をおこなう、というものですが、通称「メタボ検診」のほうが認知度が高いでしょうか?

メタボリックシンドロームとは、簡単にいえば昔の生活習慣病、さらに昔にたどれば成人病とよばれていた高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症に内臓肥満を加えたものです。太った人にこれらの病気が多いので、各企業で早めに疾患を見つけて予防しろ、というものですが。

正直にいって医療関係者には悪評ふんぷんです。メタボの基準があまり明確でないこと、検診の実施、業務が煩雑なことももちろんです。さらに問題となるのは、検診の施行率が低ければ、その企業体の保険組合にペナルティーを課すこと。実際の厚生労働省の思惑はこのペナルティにあるのでは、とさえ思います。

厚生労働省の構想(机上の空論)とは、「各企業体で責任を持って従業員の健康管理を行い、疾患を早期治療することで医療費を軽減する」ということなのでしょう。ただ、そうであれば労働基準法で定められている検診実施を、もっと徹底すればいいだけです(機会を見てまた書きますが、労働基準法での健診が現場でいかに軽視されていることか!)。

メタボ検診にかけられるコストはどのくらいになるのでしょうか?費用対効果がどの程度期待されるのでしょうか?

これだけ大がかりなプロジェクトをおこすならば、ふつうなら例えば事業規模が大きな企業とか市町村とか、で数年かけて試行し、「よし、こうすれば国民が健康になって、ついでに医療費抑制が期待できる」と確認すべきでしょう。これも社会保障費としてカウントされ、まわりまわって医療費が抑制され、本当に必要なところが削られてしまう恐れ大です、厚生労働省の役人よ、もっと現場をみて勉強しろ、と叫びたいです。

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