大腸癌は大腸のいちばん浅い(腸の内側に近い)粘膜層より出てきます。進展するにつれ、さまざまな形態をとります。形態は早期癌と進行癌で違っています。
早期癌は表在型(図1)をとり、その形により、隆起型(I)と表面型(II)に分けられます。隆起型は
の3つにわけます。この形の大腸癌は、良性ポリープである腺腫から大腸癌ができる(adenoma-carcinoma sequence)と考えられています。
また、隆起がはっきりしないものを表面型とよび、
の3つに分類します。表在型は小さなものから粘膜下層へ潜りこみ進行が速いものが多く、さきの隆起型とは違った発ガンのメカニズムをもつ(de novo cancer)、と考えられています。
進行癌は
と、おおきく4つに分類されます(図2)。いずれの形にも分類しにくいときは5型とされます。
大腸癌がどれだけ進行しているか、をあらわす目安として、よく医師が「この大腸癌はステージ2です。」といいます。ここでいうステージがすなわち、病期です。ステージが上がれば、それだけ癌が治りにくい、とされます。ここではその考え方について説明します。
1932年来の古典的な分類ですが、その考え方は現在も基本です(図4)。リンパ節に転移したものをC、遠隔(肝臓、肺など)へ転移したものをDとし、リンパ節転移のないもので大腸壁の筋層をこえたものをB、こえていないものをAとします。
国際的に標準とされる分類で、O-IVにわけます。Tは腫瘍の深達度をあらわし(図5)、Tisは粘膜内にとどまる癌で、T1は粘膜下層まで、T2は固有筋層まで、T3は漿膜下層まで、T4は周辺臓器への浸潤をさします。
リンパ節転移(N)については、所属リンパ節に転移がないものをN0、あっても3個までのものがN1、4個以上をN2としています(図6)。
遠隔転移はあればM1、なければM0です。
本邦でいちばんよくもちいられている病気分類です。おおまかな思想は欧米と同じですが、リンパ節転移については異なります。
すなわち、Dukes、TNMが単純にリンパ節の個数を問題にしているのに対し、どれだけ遠くのリンパ節まで転移しているか、を中心に考えています。たとえば、リンパ節の転移が3個なら、TNMならばN1の扱いですが、このうち一つが例えば下腸間膜動脈根部リンパ節であれば、N3(+)との扱いになります(図7 改訂予定)。
従来より、大腸癌の組織は大きく(1)腺癌(2)扁平上皮癌(3)腺扁平上皮癌 と分類してきました。ほとんどの大腸癌は(1)腺癌で、これをさらに高分化癌、中分化癌、低分化癌、粘液癌、印環細胞癌と細分しています。
新しい大腸癌取り扱い規約では、これも再編される予定です。組織分類について、詳しく知りたい方は、大腸癌の分類 補足の頁を参照してください。