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解剖1 肛門管のなりたち

本文中の図の解説方法
  1. 肛門部の断面
  2. 歯状腺、肛門上皮
  3. 内外肛門括約筋
  4. 肛門括約筋のシェーマ
  5. 肛門の血管支配
  6. 肛門のリンパ流
  7. 肛門の神経支配
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この頁では肛門の解剖について説明します。かなり専門的ですが、他の頁でわかりにくいところがあれば参照してください。

組織学

おしりを下から見上げたものが図1マウスです。 図1で(1)の線に沿った断面が図2マウスです。図2で絵の上が頭側、下が足側になります。

基本的に肛門の構造は左右対称ですが、腹側と背中側では構造がことなるので、痔瘻の手術などでは注意が必要です。

肛門管上皮

肛門の縁から2cmの高さに歯状線(しじょうせん図2aマウス)があります。ここが皮膚(扁平上皮)から腸(円柱上皮)へ徐々に移り変わっていく境目です。この歯状線より上には痛覚を感じないので内痔核ではあまり痛みませんが、歯状線の下になる外痔核はひどく痛みます。

歯状線にはポケット(肛門小窩=こうもんしょうか図2bマウス)があり、そのポケットの中に肛門腺が開いています(図2c)。ここへ細菌が深く侵入すると、肛門周囲膿瘍痔瘻になります。

筋肉系

肛門部での筋肉は2重構造になっています(図3マウス)。大腸をリング状に巻いている内輪筋と大腸に沿って走る外縦筋は、それぞれ内肛門括約筋と連合縦走筋になります。これらを、まわりから肛門をもちあげるように包む筋肉が、肛門挙筋と外肛門括約筋になります。肛門挙筋の一番下端は、肛門を前方へ持ち上げる恥骨直腸筋とよびます。

腸を動かす筋肉の続きが内肛門括約筋(図3aマウス)で、自分では動きをコントロールできない平滑筋です。これが広い範囲で切れると、肛門のしまりが悪くなり、ガスや下痢便が漏れたりします。

連合縦走筋は内外の肛門括約筋の間を縦にさがってきて、肛門下方で扇状に拡がり周囲の組織をたばねています(図3bマウス)。一部は内括約筋を貫き肛門管上皮とも連絡していますので、この筋肉がゆるむことで脱肛がおこりやすくなります。

直腸が下に下がらないように頭側にもちあげている筋肉(肛門挙筋)のつづきが外肛門括約筋(図3cマウス)で、下痢をしたときに辛抱するときに活躍します。肛門挙筋、とくに恥骨直腸筋(図1(2)マウスの方向に直腸を前へひっぱる筋肉)が切れると、肛門機能が大きく損なわれます。また、骨盤の奥の肛門挙筋が弱ると直腸がさがってきて、直腸脱の原因となります。

以降の頁では理解する上で括約筋がだいじな疾患では図4左マウス、それ以外では図4右のように簡略化しています。

脈管系

肛門にくる動脈は、上中下直腸動脈です。このうち、上直腸動脈は下腸間膜動脈の枝で、枝分かれした後に肛門付近では時計の方向で3,7,11時の向きに走っていることが多く(図5矢印=動脈が赤、静脈が青マウス)、この場所に内痔核ができやすい理由の一つ、とされています。

内肛門括約筋まわりの静脈の集まり(これが育つと内痔核)は上直腸静脈を通じて門脈、肝臓を経て心臓に戻ります。外肛門括約筋まわりの静脈の集まり(これが育つと外痔核)は、下直腸静脈を通じて内陰部静脈、下大静脈を経て心臓に戻ります。もちろん、これら内外の静脈叢はたがいに交通があります。

リンパ(図6マウス)は肛門周囲では、主として鼠径部の浅いリンパへ流れていき、たとえば肛門周囲膿瘍などの炎症疾患で腫れていたくなります。直腸では骨盤内の側方リンパ節への流れがあり、直腸肛門部の癌で骨盤の奥や大腿部奥のリンパが固く触れることがあります。

神経系

神経系の支配を図7マウスにしめします。内括約筋は骨盤神経(図7a 自律神経)、外括約筋は陰部神経(図7b 体性神経)の支配を受けます。肛門周囲の痛みは陰部神経で感じ、陰部神経の局所麻酔だけで手術をする肛門科もあります。

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