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大腸炎6 クローン病の治療

本文中の図の解説方法
  1. クローン病 食事療法
  2. クローン病 栄養療法
  3. クローン病 輸液療法
  4. クローン病 薬物療法
  5. クローン病 レミケード
  6. クローン病 内視鏡下狭窄成形術
  7. クローン病 手術適応
  8. クローン病 狭窄での手術

内科治療

クローン病の治療の原則は内科療法、とくに腸を安静にする栄養療法です。栄養状態を少しでもよい状態とし、薬物療法も加えて炎症の再燃をふせぐのです。

いずれにしろ、長いつきあいになる病気ですから、(経過中に手術を要する場合もありますので)信頼できる消化器医を見つけましょう。

栄養療法

調子がよいときは通常の食事もとれますが、腸の安静を保つために低脂肪低残渣の消化の良い食事をとります(図1マウス)。

腸炎がさらに悪くなったときには成分栄養剤(アミノ酸製剤が主)を飲みます。決して美味しくないので、鼻から挿入したチューブを通して少しずつポンプを利用して注入する経腸栄養療法もおこないます(図2マウス なれれば在宅でもできます)。

また完全静脈栄養として全く腸管を使わない方法もあります(図3マウス)。食事をすっかりやめてしまい、点滴だけで栄養をとる、という方法です。初めてクローン病と診断されたときには、まずこの方法で良い状態へもっていきます(緩解導入)。

薬物療法

食事、栄養療法で改善しないときは、薬物療法を行います(図4マウス)。

潰瘍性大腸炎と同じで、まずはメサラジン=ペンタサを用います。同じメサラジンでも大腸でのみ効果をもたらすアサコールは(理論的には大腸炎型クローン病には効くはずですが)潰瘍性大腸炎と違い保健適応がありません。メサラジンだけで良くならないと、ステロイドを併用します。難治例では免疫抑制剤も使われますが、副作用も考えて入院治療が必要です。

薬物療法では新しい治療法が注目を浴びています。

TNF(Tumor Necrotizing Factor=腫瘍壊死因子)−αは大腸のサイトカインの一種で、クローン病では大量に生産されています。この因子のはたらきで、腸管全層におよぶ炎症がおきる、と考えられています。この道筋をブロックしよう、というのが抗TNF−α抗体療法です。

抗TNF−α抗体療法

最近になり抗サイトカイン療法である抗TNF−α抗体(インフリキシマブ・商品名レミケード)が使われるようになりました。関節リューマチでも使われるくすりで、クローン病が増悪したときに点滴しますが、劇的に効くこともあります(図5マウス)。

非常に高価なくすりですが、もちろん保険適応があります。結核の増悪やアレルギー反応など副作用はありますが、外瘻を形成するような難治性のクローン病でも有効とされています。最近は関節リウマチでは病状が軽い段階から 積極的に抗TNF−α抗体療法を導入すべき、という説もありますが クローン病ではまだまだ一般的な考え方にはなっていません。

他にもいろいろな生物製剤が開発途上で、今後のこの分野での治療の進歩がおおいに期待されています。

内視鏡治療

内視鏡でクローン病の合併症である腸管狭窄をパルーンを使って広げるときもあります(図6マウス)。上部消化管や手術でつないだ箇所など、適応は限られます。また、拡張後に穿孔や出血の可能性がありますので、要注意です。

外科治療

潰瘍性大腸炎と違い、外科療法が必要になる場合がよくあります(図7マウス)。絶対に手術しないといけないのは

  1. 穿孔(腸に穴が開き腹膜炎になること)
  2. 大量出血
  3. 膿瘍形成(腸間膜などに膿がたまること)
  4. 癌合併あるいは合併疑い(潰瘍性大腸炎よりは稀)

です。また、内科治療に反応が悪いとき、繰り返し腸閉塞をおこすとき、内瘻外瘻形成、痛みを伴う痔瘻合併のときも手術が必要になります。

クローン病では肛門病変の合併が多いですが、とくに肛門周囲膿瘍、痔瘻が初発の症状で、初回手術であることが多いです。クローン病での肛門周囲膿瘍、痔瘻の特長と治療原則について、補足のページで説明しています。ご参照下さい。なお、痔瘻の一般的治療については痔瘻の治療のページも参照してください。

手術原則

手術は必要最小限にとどめることです。クローン病は発症後5年以内に手術を受ける確率が70%あり、複数回の手術をうけることも少なくありません。できるだけ腸管、特に小腸の温存に努めること、膿は十分出すことが大事です。

狭窄を例にとると、ふつうの腸閉塞で狭窄部があればその部分の腸管を切除しますが、クローン病のときは狭窄部を拡張します(図8マウス)。

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