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大腸炎5 クローン病の診断

本文中の図の解説方法
  1. クローン病 分類
  2. クローン病 性差、年齢
  3. クローン病 原因
  4. クローン病 腸管合併症
  5. クローン病 アフタ
  6. クローン病 不整潰瘍
  7. クローン病 敷石状病変

クローン病は原因不明の肉芽腫(にくげしゅ)性炎症で、消化管のどの部位にもおきます。その昔アメリカのDr.Crohnがはじめて報告してこの名がありますが、小腸の末端で炎症がおきるので回腸末端炎とよばれていました。日本では少ない病気でしたが、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)と同じく近年になり急速に増えています。

潰瘍性大腸炎との大きな違いは、小腸など他の腸管もおかされ、炎症が腸の壁全層におよび、その結果トンネルを作ったりしこりがもとで腸が詰まったり、と手術を受けやすい点です。

臨床上、(1)小腸型、(2)小腸大腸型、(3)大腸型にわけます。病気の進行により、小腸型や大腸型から小腸大腸型へ移行することもよくあります(図1マウス)。

潰瘍性大腸炎よりも若い患者が多く、10代から20代の男性に多い傾向があります(図2マウス)。平成16年度医療受給者証交付件数は23000人で、潰瘍性大腸炎の約1/3です。毎年1000人以上の患者さんが増えています。

原因

クローン病の原因は不明で、潰瘍性大腸炎とおなじく厚生労働省特定疾患のひとつです(図3マウス)。環境や遺伝の因子、感染などにより免疫異常がおきている、と考えられています。症状が悪くなるときは、ストレスも関与します。

症状

腹痛(特に右下腹部痛)や発熱をともなう下痢が多いですが、食欲不振や栄養不良、体重減少などのみの時もあります(図4マウス)。

痔瘻など肛門病変も多く発症します。クローン病の痔瘻は難治性で、治療に難渋することが少なくありません(クローン病の治療の項で説明しています)。

図5マウスにしめすように

  1. 腸に穴が開く(穿孔=せんこう)
  2. 他臓器とトンネルを作る(瘻孔=ろうこう)
  3. 腸が狭くなる(狭窄=きょうさく)
  4. 腸が癒着(ゆちゃく)して腸閉塞

と腸に合併症をおこし、よく緊急手術になります(発症後10年以内に手術を受ける可能性は70%)。

消化管以外では、潰瘍性大腸炎と同様の皮膚、眼、関節症状や肝機能障害がでることもあります。

診断

10代後半から20歳代の若い人で、慢性の下痢、腹痛、体重減少、食欲不振があるときにクローン病を疑います。

他の炎症性腸疾患との違いとして

  • 非連続性、区域性病変
  • 敷石像、縦走潰瘍
  • 全層性炎症
  • 乾酪壊死のない類上皮細胞肉芽腫
  • 瘻孔形成
  • 肛門病変として難治性、非定型性痔瘻や裂肛

があがります。

内視鏡検査

代表的な内視鏡所見は、多発するアフタ病変に始まり(図6マウス)、これらのアフタがさらに深く、融合して不整型の潰瘍をつくるようになり(図7マウス)、さらに病変がすすむと粘膜が縦に欠損して(縦走潰瘍)残存した粘膜がちょうど敷石状にみえるようになります(図8マウス)。

大腸病変は内視鏡検査で簡単に確認できるようになりました。小腸病変はいままでは小腸造影(バリウム検査)でしか確認できませんでした。最近では、小腸内視鏡やカプセル内視鏡で評価する試みがなされています。

血液検査

炎症所見(赤沈亢進、白血球血小板やCRP増多など)があがり、低栄養状態(血清蛋白、アルブミン、コレステロールの低下)、貧血をしめします。

レントゲン検査

バリウム注腸検査で上記の所見が確認されますが、いまは大腸型クローン病では内視鏡検査が優先されます。

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