内痔核ができる原因として考えられているのが、肛門部の血管がうっ血して静脈瘤になる、という説です。もう一つの原因として、肛門管内で内痔核を肛門括約筋に固定している支持組織がゆるむ、という説があります(図1)。
わかりやすく説明すると、血が中に充満した静脈のこぶ、痔を風船とし、糸(支持組織)で地面(内肛門括約筋など)に固定されていると考えてください。
この風船がおおきくなったり、風船の糸が弱くなってのびてくる(図2)と、痔が大きくなり外へ出てきます。これがいわゆる「脱肛」で、内痔核のずいぶんと進んだ状態と理解してください。(図3)
なお、妊娠、出産により痔になったり、痔が悪くなったりすることがよくあります。詳しくは内痔核の原因の補足の頁、「妊娠にともなう肛門疾患について」を参照してください。
内痔核にかぎらず、肛門疾患は便通をととのえ、生活を規則正しくすることで予防できます(図4,図5)。ただし、肛門周囲膿瘍や痔瘻など炎症性疾患はおしりを温めると症状が悪化しますので、ご用心を。
おしりを冷やすと肛門のまわりの血流が悪くなります。お風呂に毎日はいって温めましょう。
食事が不規則になると便通の調子が悪くなるので、三度の食事を規則正しくとりましょう。便通をよくするために、野菜と水分をじゅうぶんにとって、運動をしましょう。歩くことでおなかが揺すられ、腸の動きもよくなります。
とくにずっと座りっぱなしでは、肛門まわりがうっ血します。長い時間、車の運転や机に向かうのはやめ、途中で休憩をとりましょう。
非常に辛いものをたべると、肛門があつく感じることがあるでしょう?またアルコールを取りすぎると、下痢など便通異常をきたしやすいのも痔の原因になります。
トイレは我慢せず、いきたいときにいきましょう。また、多少、便が残った感じがあっても、長時間すわるのはよくありません。
シャワートイレを使えればいちばんですが、おうちになければ肛門をシャワーで洗えれば十分です。外でトイレを使うことが多い人は、あまり便を辛抱しないことが大事です。脱肛がひどい人は携帯用のシャワートイレ(電動でないものは安価)も。
長い時間(5分以上)いきむと、肛門まわりがうっ血します。脱肛しやすくなり、血圧も上がりますので、とくに冬場に寒いトイレでいきむのは止めましょう。