歯状線の外側にできる痔核が外痔核、このうち肛門皮膚下に血豆ができるものを血栓性外痔核(図1)と呼びます。
外痔核はそれまで肛門が腫れたことのない人が、「ある日下痢や便秘を繰り返した後に、とつぜん肛門のまわりに固いしこりができて痛くてたまらない」というのが典型例です。
小さなものでは軽い痛みだけですが、大きなものになると肛門の半周がしこりとなり、いすに座るのも大変です。さらに放置すると破裂して、下着が真っ赤になるような出血をすることもあります(図2、図3)。
外痔核との鑑別が必要なのは内痔核、脱肛、直腸脱、肛門周囲膿瘍、肛門癌などですが、熟練した肛門科医ならば診断はかんたんです。思い悩まず、肛門科の門をたたきましょう。
外痔核も小さなもので、ほとんど痛みもなく肛門周囲のしこりだけが症状の時は、手術はまず必要ありません。日常生活に注意をして(「内痔核2」のページを参照のこと)坐薬や軟膏を塗っていれば、徐々に腫れがひいていきます(図4)。
しこりはあっても痛みがあまりなく、出血などの内痔核の症状が乏しいときは、まずは軽症と同じような治療をしてみて、その経過に応じて治療法を選択します。数日で痛みも腫れも軽くなれば、そのままクスリだけでもいいでしょう。ただ、腫れや痛みがなかなか引かないときは局所麻酔でしこりの頂部を切開し、なかの血栓だけをとりのぞきます(図5)。
しこりが非常に大きいとき、痛みが非常に強いとき、また内痔核も同時にあるときは、手術が必要です。手術は内痔核もあるときは、内痔核結紮切除術をくみあわせて外痔核もとります(図6)。
大きな外痔核が吸収されるのは時間がかかりますし、局所麻酔で血栓だけとる方法では術後に肛門周囲の皮膚がたわむ(皮垂)ようになり、病気は治っても肛門周囲が不潔になりやすく、余病を招くおそれがあるからです。
なお、硬化療法のジオン注射は従来法よりも治療効果が高いため、内痔核が重度でなければ 外痔核切除+内痔核ジオン注射という方法も頻用されるようになっています。
肛門の皮膚がたわんで、耳たぶのように余った状態を皮垂(ひすい)といいます。多くは大きな血栓性外痔核を放置して、血腫が吸収された後にできます。
本来は治療の対象になる病気ではないのですが、これがもとで肛門周囲がかゆくなったり排便後にふきにくかったりするのが不愉快なときは手術をします。