大腸がん、大腸ポリープはいかに早く診断し、治療するか、が重要です(図1)。大腸がんは比較的大人しい癌なので、たとえば肺癌や膵臓癌などと比べて、施設間の成績が非常に少ない病気です。簡単にいえば、「あの病院へ行けば治ったのに」「この病院で手術したから治った」という差が少ない、といえます。
大腸がんの危険因子がある方とない方で扱いが異なります。
大腸がんになりやすい人とは次のような人です(図2)。
危険因子を有する人は、大腸内視鏡検査をおこないます。大腸内視鏡検査については、大腸ポリープの診断で書いていますのでご参照下さい。
大腸内視鏡検査がどうしても嫌、というひとにはレントゲン検査である注腸検査もおこないます。ただし、注腸検査では小さなポリープか便か判断しにくい場合も多く、早期癌の発見には改めて内視鏡検査が必要なことがあります(図3)。
危険因子のない人では、スクリーニングのための便潜血反応をおこないます。便の中に人ヘモグロビンが混じっていないかどうかを見る検査で、市民検診でも大腸癌検診として用いられています。
ただし、偽陽性や偽陰性が少なくありません。大きな大腸がんがあっても陰性に出ることもありますので、症状があるときはまよわず内視鏡検査をうけることをお勧めします。
大腸がんに特徴的な症状はありません。比較的多い症状としては、以下のようなものが挙げられます。
基本的なスタンスとしては、大腸がんが疑われるときは大腸内視鏡検査が最優先です。腸閉塞のおそれがないときは、検査前に下剤を使って前処置を十分してから検査となります。
ただし下剤を使うことで腸閉塞をきたすおそれがあるときは、あえて浣腸だけで腸の下側=大腸がんの好発部位を急いでチェックすることもあります。