大腸癌と便秘について

従来より、慢性の便秘の人に大腸癌が多いのではないか、と信じられていました。便中の有害物質、発ガン物質と腸粘膜がふれあう時間が長くなるためです。便通が毎日でないと「このままでは大腸癌になるのではないか」と心配して、毎日のように下剤を服用する方も少なくありません。

便秘は大腸癌になりやすい?

厚生労働省研究班より2007年はじめの新聞で、「便通が2~3日に1回と便秘がちでも、大腸がんになる危険度は特に高まらない」と発表されました。40~69歳の男女約6万人を1993年から平均約7年追跡し、便通の回数や状態とがんの発症に関係があるかを調べたのです。

その結果、排便が週に2~3回の人も、日に2回以上の人も、毎日1回の規則的な人と比べてがんの発症の危険度に差はなかった、とするものです。

気にしなくてもよい?便秘

「むかしから便秘で週に2回しかでません。」という人は気にしなくてもよいと思います。腹部膨満感、食欲不振、全身倦怠感、腹痛、頭痛、めまいなどを自覚していなければ、気にする必要はありません。もちろん、あわせてお腹がよく痛んだり、便に血が混じる場合には消化器内科、肛門科などの受診が必要です。

気にするべき便秘

問題となるのは、便の習慣が変わってきたときです。「5年前までは毎日でていたのが最近は3日に1回になった」、あるいは「以前はあまりお腹が痛くならなかったのに、最近はトイレへ行く前後に1時間痛みます」という場合です。また、便秘の間に下痢が繰り返しおこるときも心配です。

また、「便通が週に1回しかないような重い便秘」や、「逆にずっと下痢が続く場合」は、がんだけでなく別の病気の可能性も考えられます。早期に医療機関を受診すべきです。

便秘についての考え方

便の回数は安定していれば、週に2回でも、逆に一日3回でも心配はありません。便秘に関して言えば、「便は毎日でるのがふつう」とは限らない、ということです。その人その人の腸で一定したリズムがあります。無理に下剤を使う必要はありません。

むしろ便をだそう、と強い下剤を連用していると、徐々に腸が動かなくなり、薬の量が増えていきます。薬の刺激がないと腸が動かなくなるのです。医師でも大腸が専門でない先生はかんたんに強い下剤を何錠も出しますが、感心しません。

便秘の解消には

便秘をさけるには近道はありません。昔から言われているように

  • 水分をしっかり摂る
  • 繊維質の野菜を十分食べる
  • 一日3回、規則正しく食事をとる
  • 適度な運動をする(歩くだけでじゅうぶん)

薬のように即効性はありませんが、これらに尽きます。あせることなく地道に頑張りましょう。なお、便秘症についてはこちらの企業サイトに詳しく書いていますので、参考になると思います。

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